青い月とアンビバレンスな愛 special website | moumoon

桜沢エリカ減算短編小説「青い月とアンビバレンスな愛」

就職先を先に決めたのは私だった。
周りの友達や先輩に恵まれていた私は、とんとん拍子で希望の会社の内定をとった。
今思えば、晃がいてくれたから就活も頑張れたのかな、と思う。

晃もすごく喜んでくれた。
家に来たとき「お祝いだ」とか言ってでっかいハーゲンダッツのパイントを買ってきてくれた。
「普通、花束とかもってくるでしょ。アイスって…!」
「金ないんだからしょうがないだろっ。いらないなら俺が食う。」
本当はすごい嬉しかった。
部屋でひとつの大きなパイントアイスを二人で全部食べた。
それがなんかおかしくて、二人でいつまでも笑ってた。

「晃の就職先が決まったらまた二人でお祝いしよう」
「就職して給料入ったら、でっかい花束プレゼントするから」
私をやさしく抱きしめる晃の事が、本当に大好きだった。

晃はIT系の会社に就職を希望するも、不況のせいか競争は激しく、なかなか就職を決められずに苦労していた。
その間は、二人で会う時間が少なくなっていた。

こんな時、みんな我慢できずに好きな人に会いに行くの?
はじめて誰かを本気で好きになった私にはわからなかった。
我慢できてしまうのは、本当の恋じゃないの?

あの時、一度誰かに相談してみればよかった ―でも誰にも聞けなかった。